ニュートン効率
Newton's efficiency
一般に二成分混合物の分離の度合いを示す効率として使用されている。有効成分回収率から不用成分残留率を引いた値で表わされ,100 % は完全分離を示す。オリジナルは H.W.Newton と W.H.Newton が "Rock Product" p.26, Aug. 13 (1932) にふるい分け効率(篩分け効率)として発表したものである。
その後種々の分野で利用されているが,分級効率として利用されることが多い。その際,分級径の定義によって値が変化し,比較が難しい場合がある。従来はふるい目開きまたは部分分離効率50%径(50%分離粒子径)が使われていたが,最近では平衡粒子径におけるニュートン効率が多く用いられている。
原料 $F$ [kg] を分級して粗粉 $A$ [kg] と細粉 $B$ [kg] を得たとする。それぞれのふるい上積算質量分布について,分離粒子径 $D_{\mathrm{pc}}$ に対する値を $R_{\mathrm{F}}$,$R_{\mathrm{A}}$,$R_{\mathrm{B}}$ とすれば,物質収支より次式が成立する。
\begin{align}
F &= A+B \\[4px]
FR_{\mathrm{F}} &= AR_{\mathrm{A}} + BR_{\mathrm{B}}
\end{align}
ここで,粗粒子回収率を $r_{\mathrm{A}}$ とし,細粒子回収率を $r_{\mathrm{B}}$ とすると,
\begin{align}
r_{\mathrm{A}} &= \frac{AR_{\mathrm{A}}}{FR_{\mathrm{F}}} =\frac{(R_{\mathrm{F}}-R_{\mathrm{B}})R_{\mathrm{A}}}{(R_{\mathrm{A}}-R_{\mathrm{B}})R_{\mathrm{F}}} \\[6px]
r_{\mathrm{B}} &= \frac{B(1-R_{\mathrm{B}})}{F(1-R_{\mathrm{F}})} =\frac{(R_{\mathrm{F}}-R_{\mathrm{A}})(1-R_{\mathrm{B}})}{(R_{\mathrm{A}}-R_{\mathrm{B}})(1-R_{\mathrm{F}})}
\end{align}
ニュートン効率,$\eta_{\mathrm{n}}$ は,
$$
\eta_{\mathrm{n}} = \mathrm{(有用成分回収率)-(不要成分残留率)}
$$
であるから,
\begin{align}
\eta_{\mathrm{n}} &= r_{\mathrm{A}}-(1-r_{\mathrm{B}}) \\[4px]
&= r_{\mathrm{B}}-(1-r_{\mathrm{A}}) \\[4px]
&= r_{\mathrm{A}} + r_{\mathrm{B}} -1
\end{align}
となり,粗粒子と細粒子のどちらを有用成分としても同じ値になる。
$$
\eta_{\mathrm{n}} = \frac{(R_{\mathrm{F}}-R_{\mathrm{B}})(R_{\mathrm{A}}-R_{\mathrm{F}})}{R_{\mathrm{F}}(1-R_{\mathrm{F}})(R_{\mathrm{A}}-R_{\mathrm{B}})}
$$
上式は粒子径分布測定の結果のみから計算できる式である。また,分級結果を理想的に分離された部分と,分離されずにそのまま分割された部分との混合であると解釈すると,ニュートン効率は理想的な分離をした質量割合を示すものである。
→ 分離効率,分級効率
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