ぬれ性,濡れ性
wettability
濡れは固体面への液体の吸着現象であり,一般に固体と液体の付着力が液体の凝集力より大きい場合は濡れやすい(親液性)といい,逆の場合は濡れにくい(疎液性)という。この濡れ性は接触角 $\theta$ で数値的に評価され,$0 \leqq \theta \lt \pi/2$ であれば粉粒体は液体に濡れ,$\pi/2 \lt \theta$ では濡れにくい。粉粒体の濡れ性は粉粒体の液中への分散,溶解,造粒,混練,焼結,浮選などの処理効果に影響を及ぼす表面化学物性の一つである。
濡れ性の代表的な測定法には湿潤熱法,液滴法,毛管法などがある。
- 湿潤熱法は固体が濡れるときには化学反応や溶解が生じなくても発熱し,この湿潤熱(浸漬熱)$Q$ を測定することにより, $$ Q = \sigma \cos \theta - T \frac{\partial (\sigma \cos \theta)}{\partial T} $$ の関係式($\sigma$ は表面張力)から $\theta$ を求める方法である。
- 液滴法では粉体を一定圧力で成形した錠剤上に液滴をおき,その液滴と錠剤のなす接触角を顕微鏡あるいは写真により直接測定する。
- 毛管法は粉粒体層内の毛管による液体の吸引圧を利用する方法で,その方法には粉粒体層に浸透する液が形成する気液界面の移動速度あるいは移動液量から動的前進接触角を測定するウオッシュバーン法と,気液界面の移動を阻止するのに必要な圧力から準静的接触角を求めるバーテル法がある。
- 負の吸引力(毛管負圧)をもつ疎液性粉粒体の接触角は,液体の粉粒体層への浸透開始圧力から求められる。
→ 濡れ(ぬれ),浸漬熱,毛管圧力,毛管上昇,浸透
【広告】