ハウスダスト
house dust
ハウスダストの主なものは生物系ダストとタバコ煙がある。まず生物系ダストとして,花粉,真菌,植物胞子,ウイルスなどがある。一般に室内の生物系ダスト濃度は,野外の濃度とは無関係で,居住条件や室内での活動により密接に関連している。クーラーや低温の霧を発生させるタイプの加湿機は,感染症の生物系ダストを濃縮したあとエアロゾルとして発生させる装置となる恐れがあることが,確認されている。
なお,生物系ダスト汚染問題において特に注目すべき問題としてレジオネラ症がある。この原因は,レジオネラ菌という,通常は土壌中にいて,建物内部に大量に侵入することなど滅多にない菌であるが,クーリングタワーに入り,霧散しエアロゾルとなり発症すると考えられている。この菌に感染すると症状は肺炎と似ているが,治療法が全く異なる病気になるため,肺炎の治療をしている間に病状が悪化し,多くの死者を出すことになるので注意を要する。
タバコ煙による汚染は,粉塵やガスをはじめとする数千種類以上の汚染質を発生させる一般室内環境における最悪の汚染源といえる。環境中のタバコ煙(ETS:environmental tobacco smoke)は主流煙と副流煙からなり喫煙粒子の濃度と粒子径分布は,凝集,凝縮により直ちに変化するため,測定法によってそれらの値は異なり,個数濃度は 107~1011 個 mL-1,光散乱中央径で 0.1 ~ 1.0 µm,質量基準の中位径で 0.2 ~ 0.4 µm の範囲である。室内では,喫煙に由来していると考えられる 1 µm 以下の微小粒子が多く存在している。
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