破壊強度
fracture strength
物体が破壊するときの応力。すなわち破壊応力の絶対値のことを一般にその物体の破壊強度あるいは単に強度という。強度には圧縮強度,引張強度,せん断強度(剪断強度)などいくつかの種類があるが,これらの強度は物体の性質だけでなく,その物体内の応力状態にも関係する量であって,応力状態を指定してはじめてその大小を議論することのできる量である。普通,圧縮強度,引張強度とはそれぞれ暗黙のうちに一軸圧縮強度,一軸引張強度をさす。また,強度は物体内のごくわずかな欠陥によって左右される。いわゆる組織敏感性であり,同一の条件で求めた場合でも個々の試験片の強度の測定値はばらつく。すなわち強度は決して一定の値をとるものではなく,本質的に確率的な量であって,その値の大小だけでなく,そのばらつきのおおきさも物体に固有の性質の一つであると考えられる。この強度は試験片の大きさ,試験片を囲む雰囲気中の水分,温度あるいは荷重条件によっても影響される量である。一般的には実測強度を意味するが,完全に均一で全く欠陥を含まない物体の強度を理想的強度(理論的強度)といい,その値は実測強度の 100 ~ 1000 倍になるといわれている。
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圧縮強度,引張強度(固体材料),一軸引張試験,点載荷圧裂試験
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