粉体工学用語辞典 powderpedia: Glossary of Powder Technolog

一般社団法人粉体工学会

ハッチの式

Hatch's equation

 粒子径 $x$ の個数基準分布 $q_{0}(x)$ が対数正規分布 $f(\ln x)$ に従う粉体の場合,他の基準分布(重み付き分布) $q_{r}(x)$ への変換は, $\ln x$ の算術平均 $\mu_{0}$ と分散 ${\sigma_{x}}^{2}$ を用いて次式で表わされる。

$$ q_{r}(x) = f(\ln x - r\cdot{\sigma_{x}}^{2}) $$
 ただしここで,
\begin{align} &\mu_{0} = \ln \mu_{\mathrm{g}} = \frac{\sum\limits_{i=1}^{n}\ln x_{i}}{n} = \ln \left( \prod_{k=1}^{n} x_{i} \right)^\frac{1}{n} \\[5px] &\sigma_{x} = \ln \sigma_{\mathrm{g}} = \sqrt{\frac{\sum\limits_{i=1}^{n}(\ln x_{i}-\ln \mu_{\mathrm{g}})^{2}}{n-1}} \\[5px] &\sigma_{\mathrm{g}} = \exp \sqrt{\frac{\sum\limits_{i=1}^{n}(\ln \frac{x_{i}}{\mu_{\mathrm{g}}})^{2}}{n-1}} \end{align}
で,$\mu_{\mathrm{g}}$ は $x_{i}$ の幾何平均,$\sigma_{\mathrm{g}}$ は $x_{i}$ の幾何標準偏差である。
 あるいは,各基準の 50% 径 $x_{r,50}$ は,個数基準の 50%径 $x_{0,50}$(実は,$\mu_{0} = \ln x_{0,50}$)を用いて以下のように書ける。
$$ \mu_{r} = \ln x_{r,50} = \mu_{0}+r\cdot{\sigma_{x}}^{2} = \ln x_{0,50} + r(\ln \sigma_{g})^{2} $$
 つまり,対数正規分布における各基準間の変換では,分散は変化せずに 50% 径だけが変化して,(横軸を対数目盛とした)分布関数は平行移動する。ハッチがはじめて個数基準($r=0$)と質量基準($r=3$)の間に上式の関係があることを示したのでハッチの式と呼ばれている。

→  対数正規分布粒子径分布

執筆者:粉体工学用語辞典
編集:松山達(創価大学)
更新日:2021/06/14

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