光散乱
light scatting
電磁波の一種である光が粒子を照射するとき,元の伝播方向からそれたり,粒子の内部で吸収されたりする。この現象は,一様媒体中に屈折率の異なる物体が置かれた系における平面波の伝播として扱うことができる。近似的には,物体と媒体との境界面における光線の反射・屈折,物体の外縁部における光波の回折として幾何光学的に扱うことができる。光の波長に比べて十分小さい粒子の散乱は,振動するダイポールによる放射として近似的に扱われる(レイリー散乱)。一方,均質な球に対しては,境界条件のもとにマックスウェルの電磁方程式の厳密解が導かれている(ミー散乱理論)。任意形状の粒子の散乱については,粒子を内部場が一様とみなせる小さな多数の要素に分け,光波の方程式を数値的に解く方法が開発されている。球形粒子の散乱パターン,散乱強度,偏光比などの散乱特性は,粒子の粒子径測定に利用されている。粒子が多数分散された系では,濃度や光路長が増加すると光は系を出るまでに複数の粒子によって散乱されるようになる。これを多重散乱という。
→ 回折,フラウンホーファー回折,ミー散乱,レイリー散乱
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