金属にせん断応力(剪断応力)を加え切削あるいは研削加工を行った場合,機械的エネルギーの熱への変換による温度上昇や,せん断応力場の広がりによる加工変質層が仕上げ面上に残留する。この加工変質層は,変質していない母組織から表面に向かうに従って,弾性ひずみ層,細粒化層,繊維組織層,非晶質層と組織が変化する。この最表面の厚さ数 nm の非晶質層が Beilby 層である。Beilby 層は非結晶質の流動層であり,金属の過冷液状態と同様なものと考えられており,原子は結晶格子をつくらず無秩序な状態にあることが明らかにされている。
執筆者:粉体工学用語辞典
更新日:2021/10/7