ファンデルワールス力
van der Waals force
分子(原子)間に働く力として,第一に電荷間,永久双極子間に作用する静電気力(クーロン力),第二に周囲の電荷や永久双極子によって誘起される双極子モーメントによる分極力,第三に瞬間的な電荷のゆらぎによる双極子モーメント間で生じる力(ロンドン・ファンデルワールス力,分散力ともいう)がある。これら三つの相互作用力を厳密に分離することは難しいが,三番目の分散力は不対電子をもたない中性分子(原子)間にも働く相互作用力で,ファンデルワールス力の最も重要な因子である。この分散力は,引力にも斥力にもなりうるが,二つの球体が接触するときに生じる引力は
$$
F = \frac{Ad}{12{z_{0}}^{2}}
$$
で与えられる。ここで,$A$ はハマーカー定数,$d$ は換算粒子径,
$$
d = \frac{D_{\mathrm{p1}}D_{\mathrm{p2}}}{D_{\mathrm{p1}}+D_{\mathrm{p2}}},
$$
$z_{0}$ は表面間距離である(表面が滑らかなとき 0.4 nm が用いられる)。$D_{\mathrm{p2}}$ を無限大にすれば,球—平板間の引力も求められる。なお,表面間距離が 5 nm を超えると遅延効果(伝播速度の遅れに起因する双極子のゆらぎのずれ)によって引力は上式で計算される値よりも小さくなる。なお,遅延効果が効かないレベルの微小表面粗さを有する場合のファンデルワールス力を求めるための近似式もある。
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ハマーカー定数
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