付着力
adhesive force
粒子—平面,粒子—粒子間などにおいて互いに接触しているものを引き離す力。特段の外力を加えない条件では粉体の付着現象は粒子の自重との釣り合いで決まる。したがって,粒子間付着力と粒子の自重との比をもって “見掛けの付着力” とし,粉体現象との関連を論じることがある。正味の付着力は粒子径の減少とともに減少するが,粒子の自重は粒子径の 3 乗に比例するので,見掛けの付着力は粒子径の減少により増加することになる。正味の付着力の測定法には一個粒子を取り扱う場合と粉体層を対象とする場合とがある。
- 一個粒子の付着力測定:単一粒子の個々についての直接測定を行う場合もあるが,粉体粒子は微細であるので,通常は多数粒子を対象とし,統計的処理を行って平均付着力を求める。たとえば。粉体を下地上に散布し,これを遠心力,衝撃力,振動などにより分離させ,着目粒子径の粒子の残存率が 50 % のときの分離力をもって付着力とするなどの方法をとる。
- 引張破断法による付着力測定:セル内の粉体層を引張破断させ,引張強さ σT を求め,これにたとえばルンプの式などを適用し,一接触点当たりの付着力を求める。引張破断の方法としては,粉体層を成形するときに負荷する荷重面と粉体層の破断面の方向が一致している場合(垂直引張法)と,荷重面と破断面の方向とが直交している場合(水平引張法)とがある。
→ 粘着力, ルンプの式
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