ファンデルワールス吸着ともいう。固体表面への吸着現象のうち，吸着力がファンデルワールス力に基づいた吸着をさし，吸着は可逆的で多分子層吸着となる。これに対し，吸着力が化学結合力に基づいたものは化学吸着と呼ばれ，吸着は不可逆で一層のみの吸着で終了する。物理吸着における吸着力は化学吸着に比較して弱く，吸着熱は通常 40 kJ mol^-1 以下，気体吸着では液化熱程度である。また物理吸着における吸着速度は化学吸着に比べて速い。吸着量と吸着質圧力，あるいは濃度との関係を表わす式として BET 吸着等温式がある。不活性気体である窒素，アルゴン，クリプトンを用いた粉体や固体の表面積の測定は物理吸着の応用で，BET 吸着等温式を用いて行われている。

→　ベット法（BET法）， 化学吸着