ブラウン拡散
Brownian diffusion
粒子径が 1 µm 以下の微粒子は,気中・液中にかかわらず,熱運動している媒質分子の運動により,ランダムなブラウン運動をし,周囲の濃度勾配を推進力としてブラウン拡散する。図は,静止流体中での粒子のブラウン運動による軌跡を示す。時間 $t$ の間に移動した距離 $\varDelta x$ の 2 乗平均は
$$\overline{\varDelta x^{2}}=2Dt$$
で,絶対値の平均値は
$$\overline{|\varDelta x|}=\sqrt{\frac{4Dt}{\pi}}$$
となる。これらの式で,$D$ [cm2 s-1] は粒子のブラウン拡散係数で,次式で与えられる。
$$D=C_{\mathrm{c}}\frac{kT}{3\pi \mu D_{\mathrm{p}}}$$
ここで,$C_{\mathrm{c}}$,$k$,$T$,$\mu$,$D_{\mathrm{p}}$ はそれぞれ,カニンガムの補正係数,ボルツマン定数,絶対温度,粘度,粒子径である。
種々の場におけるブラウン拡散による粒子濃度の変化は,拡散方程式を粒子の初期濃度および境界条件で,数値的もしくは解析的に解くことで求められ,壁面など物体の表面に沈着する粒子のフラックス $\boldsymbol{j}$ は,次式で与えられる。
$$
\boldsymbol{j} = -D \nabla n + \boldsymbol{v}n
$$
ここで,$n$ は粒子の個数濃度,$\boldsymbol{v}$ は外力による粒子の移動速度である。
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