分子蒸発速度
molecular evaporation rate
気相における異種成分その他による移動抵抗が無視できるときの固体または液体の蒸発速度であり,次式で与えられる。 $$ N = \alpha\frac{p_{\mathrm{s}}-p}{\sqrt{2\pi mkT_{\mathrm{s}}}} $$ ここで,$T_{\mathrm{s}}$ は蒸発面温度,$p_{\mathrm{s}}$ は $T_{\mathrm{s}}$ での飽和蒸気圧,$m$ は分子 1 個の質量,$k$ はボルツマン定数,$\alpha$ は表面に衝突する分子のうちでその表面にとらえられる分子の個数の割合,$p$ は気相における蒸発成分の分圧である。$\alpha$ は一般に適応係数と呼ばれるが,蒸発現象に着目した立場から蒸発係数とも呼ばれ,その値は蒸発物質の種類,温度によって異なる。特に $α=1$ で $p=0$ の場合の $N$ は温度 $T_{\mathrm{s}}$ における極限移動速度で,最大蒸発速度と呼ばれている。しかし,この値を分子蒸発速度と呼ぶこともあるので注意すること。
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