粉体工学用語辞典 powderpedia: Glossary of Powder Technolog

一般社団法人粉体工学会

噴霧乾燥,噴霧乾燥装置,スプレー乾燥,スプレー乾燥装置

spray drying, spray dryer

 噴霧乾燥とは液,スラリー状材料,ペースト状材料を熱風中に噴霧して,瞬時に乾燥製品を得る乾燥法である。初期含水率が高いため,製品単位質量当たりの熱コストは大きいが,5 ~ 30 s で乾燥が終結し熱変性物質でも容易に乾燥できる。噴霧乾燥では一般に乾燥速度が速いために,液滴表面の固形分濃度が高くなり,殻ができて乾燥粒子は中空となることもある。また,この乾燥殻の働きによって食品の噴霧乾燥において芳香成分が残留する。噴霧乾燥は食品,洗剤などの乾燥に多用されている。
 材料は回転円板,加圧ノズル,および特に高粘度液に用いられる二流体ノズルによって噴霧される。円板による噴霧では液滴が水平方向に 50 ~ 100 m s-1で噴出する。器壁への液滴付着を防ぐために塔径を大きくする必要がある。一方,熱風は材料に対して並流または向流で供給される。向流方式は熱効率が高く,粒状洗剤はほとんどこの方法によっている。しかし,自然対流が起こりやすく,温度分布は並流に比べて熱風流れ方向に平均化されるため,器壁への付着を起こしやすい。製品は 20 ~ 500 µm の球状粒子であることが多い。噴霧乾燥装置での蒸発量は 100 kg h-1 ~ 200 t h-1 である。伝熱容量係数は 20 ~ 120 W K-1 m-3 と小さいために蒸発量が大きい場合は装置が大型となる。

→ 乾燥装置遠心噴霧法

執筆者:粉体工学用語辞典
更新日:2021/9/25

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