包接化合物
inclusion compound, clathrate compound
ホスト分子または原子がつくる,トンネル状,層状,または網状構造中にゲスト分子が配列して得られる化合物を包接化合物という。クラスレート化合物ともいう。トンネル形のものには,アミロースのヘリックス構造にヨウ素が入り込んだものや,尿素の六角柱状トンネル構造の中に直鎖状炭化水素,アセトン,ヘキサノールなどが配列した,尿素アダクトと呼ばれる包接化合物などがある。デオキシコール酸,コール酸,アポコール酸などの胆汁酸類は,三次元構造をつくりその空間に脂肪酸などの有機化合物をとり込み包接化合物をつくる。グラファイト,モンモリロナイトなどは,層状構造をつくり,その層間にゲスト分子をとり込むことができる。シクロデキストン(CyD)は,グルコースが環状に結合したオリゴ糖で,分子内にゲスト分子をとり込むことで包接化合物をつくる。グルコースの数が,6,7,8 個のものを,α-,β-,γ-CyD という。プロスタグランジンを CyD で包接化し,その安定性や,溶解性を改善して製剤化に成功した例が知られている。CyD との包接化は,化粧品や,食品分野でも香りの保持や,不快な味やにおいのマスキング,低融点・油状物質の粉末化などに応用されている。
→ 包接能
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