メカニカルアロイング
mechanical alloying
金属粉を混合摩砕することによって合金が生成する現象の総称。ただし,その定義は金属系にとどまらず,酸化物やその他の化合物系にも援用されている。たとえば,酸化アルミニウムとニッケルとから,分散強化型の合金を得るプロセスは,最も早く実用化されたメカニカルアロイングの一例である。そのため,メカノケミカル反応による複合化との区別は明確でない。
メカニカルアロイングのもう一つのメリットは,合金化とともに非晶質化が起こることにある。急冷による非晶質合金の製造に比べて操作は格段に単純である。合金化にともなう発熱量が大きいほど非晶質化が起こりやすい。
これに対して,合金化過程を含まず,摩砕による非晶質化のみを対象とする操作は,メカニカルグラインディングと呼ばれる。これもまた,メカノケミカルな非晶質化と明確には区別できない。メカニカルアロイングによって固溶体を調製する場合,固溶は状態図で定義されるより広い領域で起こることが多い。ただし,固溶限界は,摩砕条件などによって変化する。そのため,メカニカルアロイングを古典的な熱力学で論じるときには注意が必要である。
→ メカノケミカル反応
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