モールの応力円
Mohr's stress circle
静止している粉体中の任意の一点に働く垂直応力を $\sigma$,せん断応力(剪断応力)を $\tau$ とすると,$(\sigma,\tau)$ 座標系で $\sigma$ と $\tau$ の関係は円によって表わされる。この円をモールの応力円といい,二次元の場合は次式で表わされる。
$$
\left( \sigma - \frac{\sigma_{1}+\sigma_{2}}{2} \right)^{2} + \tau^{2} = \left( \frac{\sigma_{1}-\sigma_{2}}{2} \right)^{2} \tag{1}
$$
ここで,$\sigma_{1}$,$\sigma_{2}$ はそれぞれ最大,最小主応力である。図示すると図のようになる。円周上の各点で粉体中の任意の一点に作用するすべての方向の応力を表わしている。最大主応力 $\sigma_{1}$ と最小主応力 $\sigma_{2}$ の方向は $\pi/2$ の角度をもつが,図では $\pi$ の角度をなしている。したがってモールの応力円で示される応力の方向の角度は実際の 2 倍を示している。$x$ 軸を $\sigma_{1}$ の方向から $\theta$ 傾いた方向とすると,$\sigma_{1}$ すなわち $\sigma$ の正の方向から $2\theta$ 角度をとった図の a 点での $\sigma$ と $\tau$ が $\sigma_{x}$ と $\tau_{yx} $ となる。$\pi/2$ ずれた $y$ 方向の応力はその 2 倍の $\pi$ ずらした b 点での $\sigma$ と $\tau$ から $\sigma_{x}$ と $\tau_{yx} $ が求まる。すなわち次式となる。
\begin{align}
&\sigma_{x} = \frac{\sigma_{1}+\sigma_{2}}{2} + \frac{\sigma_{1}-\sigma_{2}}{2}\,\cos 2\theta \tag{2} \\[7px]
&\sigma_{y} = \frac{\sigma_{1}+\sigma_{2}}{2} - \frac{\sigma_{1}-\sigma_{2}}{2}\,\cos 2\theta \tag{3} \\[7px]
&\tau_{xy} = \tau_{yx} = \left( \frac{\sigma_{1}-\sigma_{2}}{2} \right)\sin 2\theta \tag{4}
\end{align}
三次元の場合では中心が $\left( \frac{\sigma_{1}+\sigma_{3}}{2},0 \right)$,$\left( \frac{\sigma_{2}+\sigma_{3}}{2},0 \right)$ および $\left( \frac{\sigma_{1}+\sigma_{2}}{2},0 \right)$ で,半径がそれぞれ $\frac{\sigma_{1}-\sigma_{3}}{2}$,$\frac{\sigma_{3}-\sigma_{2}}{2}$,および $\frac{\sigma_{1}-\sigma_{2}}{2}$ の三つの円がモールの応力円となる。ただし $\sigma_{3}$ は中間の主応力である。モールの応力円は微小体積(二次元の場合は微小三角形,三次元の場合は微小四面体)に作用する応力の釣り合いから求めることができる。
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