不平等電界中では,帯電していない粒子も電界の影響を受けて運動する。この運動を,帯電した粒子の電気泳動と対比して誘電泳動という。誘電体である粒子は電界中で分極し,正負の分極電荷と電界との相互作用で力を受ける。この力を誘電泳動力といい,普通,電界の強い方向に作用する。したがって,粒子は帯電していなくても電界の強い方向に移動する。これは,正の分極電荷と負の分極電荷のある位置での電界の強さが異なるために正味の力が発生するからであり,誘電泳動力は電界強度の 2 乗の勾配(gradient)に比例する。このため,誘電泳動力はグラジエント力とも呼ばれる。
→ 電気泳動,
グラジエント力
執筆者:粉体工学用語辞典
更新日:2021/9/6