粉体工学用語辞典 powderpedia: Glossary of Powder Technolog

一般社団法人粉体工学会

ランジュバンの式,ランビゲンの式

Langevin's equation

 外力などが存在しない場における粒子のブラウン運動を表わす式をフランス語読みでランジュバンの式という。次式で示される。 $$ \frac{\mathrm{d} \boldsymbol{u}}{\mathrm{d}t} = -\beta \boldsymbol{u} + A(t) \tag{1} $$  ここで,$\boldsymbol{u}$ は粒子の速度ベクトル,$t$ は時間である。式 (1) は粒子が受ける力を二つの部分に分けている。式 (1) 右辺の第1項は流体力学的な力,すなわち流体の抗力を表わす項で,第2項はブラウン運動を特徴づける,すなわち分子の衝突により受ける変動力を表わす。ブラウン運動が起こる粒子は通常微小で,ストークスの抗力を受けるので式 (1) 中の $\beta$ は次式で示される。 $$ \beta = \frac{6\pi a \mu}{m} \tag{2} $$  ここで,$a$ は粒子の半径,$m$ は粒子の質量,$\mu$ は流体の粘性係数である。変動力 $A(t)$ について次のような仮定がなされる。

  1. $A(t)$ は $\boldsymbol{u}$ に独立である。
  2. $A(t)$ は $\boldsymbol{u}$ の変化に比較してはるかに早く変化する。
 速度変動の確率はマックスウェル分布で表わされ,それを用いて式 (1) を解き,$t$ 時間後の粒子の変位の 2 乗平均からアインシュタインの粒子のブラウン拡散係数 $D$ が求まり,次式となる。 $$ D = \frac{kT}{6\pi a \mu} \tag{3} $$  ここで,$k$ はボルツマン定数,$T$ は絶対温度である。

執筆者:粉体工学用語辞典
更新日:2021/06/19

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