乱流拡散方程式
turbulent diffusion equation
乱流の変動挙動によって物理量が輸送される現象を一般に乱流拡散というが,その中でも粒子濃度のような,物質の乱流運動による拡散輸送を記述する方程式を乱流拡散方程式という。質量保存則より次式を得る。
$$
\frac{\partial C}{\partial t} + (\nabla \cdot Cv)=0 \tag{1}
$$
ただし,上式中の $C$ は粒子濃度,$v$ は $v(v_{x},v_{y},v_{z})$ で,粒子の速度ベクトル,$\nabla$ はナブラオペレーター,$\cdot$ は内積を表わす。通常ブラウン拡散は乱流拡散に比較して無視小であるので無視して,$C$ と $v$ を時間平均値($\overline{C}$ と $\bar{v}$)と変動値($C'$ と $v'$)に分けて考え,そしてもう一度時間平均をとると次式を得る。
$$
\frac{\partial C}{\partial t} + (\nabla \cdot \overline{C}\,\bar{v}) + (\nabla \cdot \overline{C'v'})=0 \tag{2}
$$
上線は時間平均値を表わす。式 (2) の $\overline{C'v'}$ が乱流拡散による輸送フラックスで勾配輸送を仮定すると次式を得る。
$$
\overline{C'v'} = -\varepsilon_{\mathrm{p}} \nabla \overline{C} \tag{3}
$$
上式中の $\varepsilon_{\mathrm{p}}$ が乱流拡散係数である。式 (3) を式 (2) に代入すると次式を得る。
$$
\frac{\partial C}{\partial t} + (\nabla \cdot \overline{C}\,\bar{v}) = (\nabla \cdot \varepsilon_{\mathrm{p}} \nabla \overline{C}) \tag{4}
$$
上式が乱流拡散方程式である。ブラウン拡散を含むと拡散係数 $D$ が和の形で表わされ,次式となる。
$$
\frac{\partial C}{\partial t} + (\nabla \cdot \overline{C}\,\bar{v}) = (\nabla \cdot (\varepsilon_{\mathrm{p}} +D)\nabla \overline{C}) \tag{5}
$$
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