粉体工学用語辞典 powderpedia: Glossary of Powder Technolog

一般社団法人粉体工学会

乱流凝集

turbulent coagulation

 速度勾配 $\mathrm{d}u/\mathrm{d}x$ をもつ流れ場では,粒子は速度差により衝突凝集し,このときの凝集速度関数 $K_{\mathrm{L}}$ は次式で与えられる。 $$ K_{\mathrm{L}}(r_{i},r_{j}) = 1.33\eta (r_{i}+r_{j})^{3}\left| \frac{\mathrm{d}u}{\mathrm{d}x} \right| $$  ここで,$\eta$ は二粒子が接近するときの衝突効率であり,気中での粒子径が約 1 µm 以下の微小粒子ではほぼ $\eta=1$ と近似できる。乱流場では粒子は二つの機構により衝突凝集する。一つは乱流の空間的な不均一により生じる速度差によるもので,凝集速度関数は次式で与えられる。 $$ K_{\mathrm{T1}}(r_{i},r_{j}) = 1.33\eta (r_{i}+r_{j})^{3}\left( \frac{\varepsilon_{0}}{\nu} \right)^{0.5} $$  ここで,$\nu$ は動粘度,$\varepsilon_{0}$ は媒質単位質量当たりのエネルギー消散量 [cm2 s-3] である。二つめの機構は,乱流の時間的変動に対する粒子の追従性が,粒子の慣性力により異なるために生じるもので,凝集速度関数は次式となる。

$$ K_{\mathrm{T2}}(r_{i},r_{j}) = 5.71\eta (r_{i}+r_{j})^{2} \left| \tau(r_{i})-\tau(r_{j}) \right| \left( 1-\frac{\rho_{\mathrm{f}}}{\rho_{\mathrm{p}}} \right)\left( \frac{\epsilon_{0}}{\nu^{3}} \right)^{0.25} $$
 ここで,$\tau(r)$ は粒子の緩和時間,$\rho_{\mathrm{f}}$ と $\rho_{\mathrm{p}}$ はそれぞれ流体と粒子の密度である。粒子径が 2~3 µm 以上では,弱い乱流場においても,乱流凝集が凝集を支配する。

執筆者:粉体工学用語辞典
更新日:2021/06/20

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