粒子個数収支
population balance
粒子群中で個々の粒子はそれぞれ異なる「性質」(粒子径,密度,形状係数,反応率,温度など)をもっている。粒子個数収支は,これらの性質の値が任意の微小区間に入る粒子についての個数の収支を計算するものである。それによって方程式を導くことができ,それを解くことにより,サンプル粒子群中の上記性質の分布を計算することができる。いま性質群を表すベクトルを,
$$\boldsymbol{y}\equiv (y_{1},y_{2},\cdots,y_{n})$$
とする。$\boldsymbol{y}$ の分布密度関数を $\phi (y_{1},y_{2},\cdots,y_{n})$ で表わすとき,性質が $\boldsymbol{y}\sim \boldsymbol{y}+\mathrm{d}\boldsymbol{y}$ の微小区間に入っている確率(そのような性質をもつ粒子の個数割合)は,
$$\phi (y_{1},y_{2},\cdots,y_{n})\,\mathrm{d}y_{1}\cdot \mathrm{d}y_{2}\cdot \cdots \mathrm{d}y_{n}$$
で表わされる。粒子個数収支では,$\boldsymbol{y}\sim \boldsymbol{y}+\mathrm{d}\boldsymbol{y}$ の性質をもつ粒子に着目して,流入個数,流出個数,反応や析出・溶解などによる生成—消失個数の差引きを行い,両辺を $\mathrm{d}y_{1}\cdot \mathrm{d}y_{2}\cdot \cdots \mathrm{d}y_{n}$ で割ったのち $\mathrm{d}\boldsymbol{y}=0$ の極限をとり,$\phi$ についての方程式を導く。
一例として,粒子径だけが分布しているとき,$\phi$ は $y$ だけの関数で,
$$
\int_{0}^{\infty}\phi(y)\mathrm{d}y=1
$$
である。粒子は系内でよく混合されているとし,その総数を $N$ 個,個数流入速度を $n_{\mathrm{in}}$,流出速度を $n_{\mathrm{out}}$,流入してくる粒子の性質の分布関数を $\phi_{\mathrm{in}}$ とする。さらに,粒子径変化の速度式が,
$$\frac{\mathrm{d}y}{\mathrm{d}t}=F(y)$$
と与えられているとする。このとき $y \sim y+\mathrm{d}y$ の区間に入っている粒子の個数収支は次のように書ける。
→ ポピュレーションバランス式
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