粒子成長
particle growth
核生成により発生した微粒子は次第に成長するが,その基本的因子は凝縮と凝集である。凝縮性物質の微粒子への凝縮による粒子成長は,微粒子の表面と周囲の凝縮性物質の濃度差により生じ,凝縮による粒子成長速度は粒子周りの凝縮性物質の拡散方程式を解くことより求められる。粒子表面での化学反応をともなわない物理的凝縮では,dDp/dt ∝ 1/Dp となり,成長速度が粒子径 Dp に反比例する。したがって,小さな粒子ほど成長速度が大きくなり,粒子が分布をもっていてもシャープな分布になることになる。一方,粒子表面での化学反応が支配的となる凝縮成長の場合には,成長速度は粒子径に依存しないので,粒子のサイズ分布は物理的凝縮の場合ほど,シャープにはならないが,相対的に小さな粒子の成長が速くなり,見掛け上粒子のサイズが揃うことになる。
粒子の個数濃度が高くなると,粒子同士の衝突による凝集が粒子の成長を支配する。ただし,ブラウン凝集によって粒子が成長し,粒子が液体のように合体し成長するとき粒子の分布はシャープにならず,幾何標準偏差が 1.4 ~ 1.5 程度の平衡粒子径分布となる。気相中での場合と異なり,液相中の場合は,比較的簡単に凝集の制御が可能となる。微粒子の凝集成長を抑制するには,電気二重層による反発力を制御する静電気的安定化,およびポリマーや保護コロイドを微粒子に吸着させる立体安定化などが有効である。
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エアロゾル,
凝縮成長,
ブラウン運動
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