流動層乾燥,流動層乾燥装置
fluidized bed drying, fluidized bed dryer
流動層乾燥は,多孔板などの整流板上の粉粒体材料層に下部より熱風を吹き込み,これを流動化(流体から受ける抗力によって,各粒子がランダムな運動をしている状態)して乾燥する方式である。材料温度が均一なこと,伝熱容量係数が大きい点,材料の装置内滞留時間を自由に設定できる点が特徴としてあげられる。しかし,流動化に要する熱風風量が大きい場合には,集塵装置,送風機などの設備費が大きくなり,送風動力費もかさむこととなる。
流動層乾燥装置としては回分式と連続式がある。回分式装置は,滞留時間の均一化,付着性や凝集性をもつ材料の流動化に利点を有するものの,材料を取り出す際の熱損失に問題がある。このために,多段式装置において,各段の流動層底板を交互に回転して材料を落下させる半連続式装置も開発されている。回分式流動層装置の風速は,粒子代表径の終末沈降速度の 0.4 〜 0.8 倍程度にとられ,流動層静止層高は 0.1 〜 0.4 m(最大 1 m)である。連続式装置においては材料の滞留時間分布が生じることはさけられない。装置としては,一段式と滞留時間分布を小さくする多室式,多段式に分類される。一段式は一方から材料を供給し,他方から溢流堰を超えて材料を連続的に取り出す方式である。多室式では,整流板上ですき間を残した仕切り板で多室式されており,多段式では,多孔板が熱風の整流と粒子を落下させる働きをする。連続式流動層装置の静止層高は 0.05 〜 0.3 m(最大 1 m)であり,伝熱容量係数は 2000 〜 7000 W K-1 m-3 と大きい。
装置下部を逆円錐形にして,円錐頂部から熱風を導入すれば装置下部で粒子は気流に同伴されて上方へ移動し,上部の流動化粒子の一部が下方へ移動する。この流動化方式は噴流層(スパウテッドベッド)と呼ばれ,通常の流動層では底部で凝集を起こしやすい粘着性粒子や,粒子径分布が大きい粒子の乾燥に用いられる。
→ 乾燥装置
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