気相,液相および固相の核生成において,後で粒子となる凝縮性物質の過飽和比 が高くなると,モノマーは互いに衝突・合体および脱離して,クラスターが形成される。 個のモノマーからなる半径 のクラスター(エンブリオ)が 1 個生成されるとき,ギブスの自由エネルギー変化,,は,古典的核生成理論では次式で与えられる。
ここで, は母相から生成する粒子相への変化にともなう分子 1 個当たりの化学ポテンシャルの変化を, は分子 1 個の表面積を表し, を粒子相でのモノマー 1 個の占める体積とすると, は,
となる。 は母相と粒子相の界面エネルギーである。
一般に, は図に示すように,モノマー濃度が末飽和の状態では, の増加とともに単調に増加し,大きなクラスターが生成されるのにより大きなエネルギーが必要となり,クラスターが発生しない。一方,過飽和の状態では, は実線で示すように最大値をもつように変化する。この が最大となるクラスターが臨界核と呼ばれ,
の条件より,臨界核の半径 は次式となる。
ここで, はボルツマン定数, は絶対温度である。古典的核生成理論では,過飽和雰囲気中ではこの臨界核より大きいクラスターが粒子となり発生すると考えられている。
臨界核—クラスターの生成における自由エネルギー変化
執筆者:粉体工学用語辞典
更新日:2021/06/22