臨界ミセル濃度,限界ミセル濃度
critical micelle concentration (CMC)
界面活性剤の分子集合体であるミセルが形成されるために必要な最低濃度のこと。CMC 以下ではほぼ単量体のみしか存在できず,CMC に達してはじめてミセル中の分子と溶液中の単量体が熱力学的に平衡となり,ミセルが形成される。これを超えて界面活性剤を加えると,そのほとんどはミセルの新たな形成に使われ,単量体濃度はほぼ CMC で一定にとどまる。CMC 以上の活性剤を親水粒子の分散系に加えると,粒子表面に二分子層のヘミミセル(hemimicell:固体表面上に形成される分子集合体構造のこと。表面上二分子層のほか,半円柱状や半球状などの多様な構造をとり得ることが知られている)が形成され分散安定となる例がチタニア—アルキル硫酸ナトリウム系で報告されている。CMC は一般に疎水アルキル鎖の長さに顕著に依存し,たとえば臭化アルキルトリメチルアンモニウム CnH2n+1—N(CH3)3+Br - の系列では n=10 で 66 mM であるが,n が 1 だけ増加するごとにほぼ (1/2) になり,n=16 の CTAB では 0.9 mM まで低下する。
→ 界面活性剤,
ミセル
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